女性天皇の議論、いつの間にか消えた

元号が令和になり、徳仁天皇(なるひとてんのう)が即位されました。雅子さまも皇后となられ、本当にめでたいことです。新天皇が即位されたばかりの今、今後の皇位継承のことを考えるのは憚られる事かもしれませんが、2001年に愛子さまがご誕生になられた時に、女性天皇を認めようという議論が盛り上がったのを覚えています。しかし、その議論も秋篠宮ご夫妻の長男 悠仁(ひさひと)さまがご誕生になられると、急速に消えていってしまいました。それで時間稼ぎが取り敢えず出来たからです。

天皇制の将来が危ぶまれる

しかし、今皇室で皇位を継承できる人は3人のみとなっています。秋篠宮文仁親王、悠仁親王、常陸宮正仁親王(上皇様の弟、2歳年下)しかも子供を設けることの出来るのは、悠仁さまお一人と思われます。もし、悠仁さまに将来男子がお生まれにならなかったら、今政府が言っている男系の男子による天皇制は、終了せざるを得なくなります。
かといって、昔のような側室制度も今の時代では出来ないことでしょうから、おのずと女性天皇、女系天皇を認めるように制度を変えていかなくては、天皇制の存続はできないとも考えられます。
(しかしこの女系天皇というのは、これまでずっと男系つまり父方に天皇の血筋をもつ天皇ばかりで継承してきた歴史を考えると、日本が長きにわたって守ってきた真の天皇ではないとも言えます。 )
このような実質的な論議を早急にしていくことが必要だと思います。
日本人として、国民一人一人が天皇のことを、どう考えるかが最も重要であるのは言うまでもないことです。多くの国民は、今日々の暮らしにあくせくしているところで、天皇のことを差し迫った問題としては考えていないかもしれませんが、そこに考えがいたる人も少なからずいるはずです。法律の改正を伴うことでもあるので令和になった今、待ったなしで考える時が来ているのだということを、皆様考えていただきたいと私は思います。
いろいろな議論の後の結論が、天皇制はもうこれからは要らないというのであれば、それはそれで国民の多数意見となるなら、その方向で進めていかなくてなりません。しかし過去に取られた天皇制についてのアンケートを見ると将来、女性天皇や、女系天皇を受け入れるという人が7割前後いて、男系の天皇にはこだわっていない。この結果は男系にこだわるのではなく、女性天皇も認めて天皇制自体が続くことを望んでいる、と解釈できると思う。この問題について、人任せではなく一人一人が真剣にこの問題と向き合うときが来ているのだと思います。

旧皇族方の復帰が最後の解決策か?

第二次世界大戦後の1947年(昭和22年)10月13日、皇室会議が開かれ、皇族のうち、天皇と直接の血縁関係にある直宮(じきみや)を除く11宮家( 伏見宮・東伏見宮・山階宮・久邇宮・北白川宮・閑院宮・賀陽宮・東久邇宮・梨本宮・朝香宮・竹田宮家 )51人の皇籍離脱が決定され翌日には51人の皇族は一般市民となった。
この中の 東久邇家というのは、遡れば崇光天皇(在位1348年−1351年)の男系の子孫で天皇家の血筋となっている。 東久邇家の系統には、男系でつながっている男性が7人おられ、悠仁親王殿下とまた従兄弟になる男性が5人、さらに4人お生まれになっているとのことである 。( 近現代史研究家・ジャーナリストの水間政憲氏による )
こうした方々が皇族復帰したとすれば男系の資格を持った天皇の候補になり得るというわけである。しかし、一度皇籍から離れられているのでいまさら戻るという事は簡単なことではないだろう。そこが問題として残るが、他に良い方法がなければ、万難を排して考えていくことが必要なのではないだろうか。日本の皇室はこれまですべて男系による天皇を守ってきた。男系というところに、天皇の存在の意味、意義がある。権威が保たれている。天皇はそういう伝統を持った日本国の元首なのである。

有識者会議の中でも、男系に対する認識が不十分な人がいる

産経新聞社の電子版「産経ニュース」の2020.4.15 19:53のライフ、皇室の項目で「政府が安定的な皇位継承策の検討に向けて実施している有識者からの意見聴取で、戦後に皇籍を離脱した旧宮家の皇籍復帰について尋ねていることが15日、分かった。」と報じていた。 
いよいよ旧皇族方の皇籍復帰による、皇位継承問題の解決のスタートを切れる可能性がでてきた。

旧宮家の皇籍復帰については、平成17年(小泉政権の時)の「皇室典範に関する有識者会議」
において保守派の人たちが主張したが、皇籍を離脱してから長い時間が経過し、旧宮家と現在の皇室との共通の祖先は600年以上昔であることなどを理由に、具体的な案としては明記されなかった、という経緯があった。 しかし、その時の判断はおかしなことだと私は言いたい。
太平洋戦争の終戦後、アメリカ主導で敗戦処理と、新体制への移行のため天皇家の11宮家、 51人の方々の皇籍離脱が決定されたために、それらの方たちは皇籍を離れ民間人となったが、天皇家の血筋が途絶えないように、600年もの長きにわたり想像を絶するご努力をその方たちが続けられていたからこそ、その危機が目前に現れた今、天皇家の消滅を回避できることとなったのであって、そのことを古すぎるなどという言いかたをするのは、これまでそのような努力を重ねられてきた方たちに対して失礼千万であり、本来の天皇制の本質が理解できていないというより他はありません。



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