2019年11月8日、今日は立冬の日です。
立冬という言葉は二十四節気(にじゅうしせっき)という暦のことばです。そしてこの二十四節気は単調である暦に季節感を与えるものとして中国で殷の時代(紀元前16世紀)に考案されたとされており、先ず夏至、冬至を決めることで1年を2分割し、さらに春分と秋分を決めて4分割となり、それら4つの節気のちょうど真ん中に立春、立夏、立秋、立冬を入れることで8分割。さらにもう少し細かく分けるために、それらの間に2つずつ節気を入れて3分割することで1年が24分割されるというわけです。
ところで、単に立冬ですと言わず、「今日は暦の上の立冬です」と言われることが多いと思います。なぜそのような言い方になるのか?
朝晩は寒くなってきてはいるが、まだ紅葉もそれほどではないし、今は冬ではなく秋でしょう、と思うのが普通です。立冬という言葉の響き、印象と実際の季節感のズレがあるため、暦の上のという言い方になるのだと思います。

言葉の印象と実感とのずれの原因はなにか?

では、どうしてこういうずれが出るのでしょうか? この疑問に対する答えとしてよく耳にするのが、旧暦と新暦の違いによるものというのがありますが、それは間違いで、もともと二十四節気は太陽の動きをもとに作られているため、旧暦(太陰太陽暦)でも 新暦(太陽暦)でも変わりはありません。例えば今日2019年11月8日は旧暦に直すと10月12日ですが立冬であることにはなんの影響もありません。日付が違ってくるだけの話で二十四節気としてはそのままです。
立冬とは、冬の始まりのことです。毎年、11月8日頃(2019年は11月8日、年によって1日ずれることがある)です。 
「立」には新しい季節の始まりという意味があり、立春、立夏、立秋も同じく季節の大きな節目になります。 
朝夕冷えこみ、日中の陽射しも弱まって来て、冬が近づいていることを感じさせる頃。木枯らし1号が吹いたり、初雪の知らせも出始めます。立冬を過ぎれば、初霜が降り始め徐々に冬へと移っていきます。
これが立冬の意味で、冬が来たと言っているのではありません。秋も後半に入り、冬の季節が始まり出したということです。

夏至を例にとって、その実感とのズレを考えると

夏至は北半球では昼間が最も長い日という意味の日としているわけで、上でも書いているように太陽の動きから決めた天文学的な決め方をしている。それに対して気象学的に最も暑い日はいつなのかを調べてみることにする。気象庁の「過去の気象データ検索」のページで例えば東京の2019年8月の日ごとの最高気温(℃)を調べてみると8/7、8/9、8/11の3日が同じ35.6℃と分かった。そうするとこの3日の真ん中である8月9日が最も夏の暑い日としてよいと思います。一方、2019年の夏至は6月22日ですから、48日間のズレがあることが判明します。

春分、夏至、秋分、冬至そしてそれらの間にある立春、立夏、立秋、立冬 の8つの節気を考えると(これら8つの節気のことを八節という)、それらの間隔は365÷8で45.6日となるので48日間のズレということは、ほぼ次の八節の時期になります。だから夏至の次というと立秋ですから2019年では8月8日です。まさしく先ほど示した最も暑い日の8月9日とほぼ一致しています。
冬至も調べると2019年は12月22日ですが、次の節気の立春は2020年2月4日で例えば東京で最低気温が最も低い日を調べると2月7日に-2.1℃となって最も寒かったようです。これもやはりほぼ節気一つ分のズレになっていることが分かります。
立春2月4日、立夏5月6日、立秋8月8日、立冬11月8日これらすべて、その日あたりから春や夏や秋や冬が始まると言われてもそんなことはない、と感じてしまいます。

次に、ではなぜそのように1か月半ほどズレるのかという原因を考えると、太陽の高度が高く、昼の時間が最も長い夏至ですが、日光に照らされて地面が温まり、その熱が伝わることで空気が温まるまでに時間がかかるため、最高気温になるのはそこから1か月半以上も後になるという事です。さらに日本では夏の前に梅雨があり、この期間は実質的に日照時間は短くなり、梅雨が明けてから本格的に地面が熱せられ、8月上旬に気温のピークを迎えることになるわけです。

このことは他の節気の冬至、秋分、春分、そして立春、立夏、立秋、立冬すべてについても同じ理由で時間にズレがあるということが言えます。


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