皆さん、歩道を歩いていて急に自転車が近づいてきたり、サァーっと自分の脇を通過していったり、前をギリギリで横切ったりされた経験はないでしょうか? 日本の道路事情のためか、どうしても自転車が歩道を走ることがある程度は仕方がないということは、わかる部分もあります。
しかし先ほど言ったようなケースは、一つ間違えると歩行者が被害を受けてしまいます。
歩道での歩行者と自転車の事故
実際、私の知っている近所に住む老人がバス道の脇の歩道に面して建っているその人の家からドアを開けて外に出たときに、歩道を疾走する自転車とぶつかり、転倒して手や顔を負傷し、歯も数本折れるという軽傷ではないけがを負わされましたが、その自転車は逃げて行ってしまい、すべて自分が処置せざるを得なくなってしまいました。
鈴木啓太弁護士によると歩道上での事故の場合「歩行者対自転車」の事故の過失割合は、歩行者0:自転車100が基本。歩行者は、歩道上で自転車への注意を払う義務を負っていないので
歩道上の歩行者は過失相殺されない、ということです。
一方、自転車は原則車道を通行します。道路外の施設に出入りする場合など例外的に歩道の通行が許されます(道路交通法17条1項)。
また、自転車が道路標識などで歩道の通行を許可されている場合、自転車は歩道中央から車道寄りの部分を徐行しなければなりません。自転車の通行により歩行者の通行を妨げるときは、一時停止をしなければなりません(道路交通法63条の4第2項)。
こうして歩行者の過失はゼロ、自転車の過失が100となるのです。
まあ、しかし先ほどの例みたいに逃走されて、証拠が何もないとどうにもしようがないです。でも目撃者や防犯カメラの映像などで捕まるケースも多いはずです。日頃自転車を運転されている方は、このような危険な運転をされないよう心がけをお願いします。
自転車の速度規制について
さきに結論から言うと、自転車には法定速度というのが決められていません。
これについて私が、現在の法律が不備だなと感じる点が2つあります。
一つ目が、道路上では自動車に対する制限速度が適用される。これが常識外れとなっている。
(自転車の場合は原動機付自転車のような法定速度はない。)
二つ目は、自転車は場合によって歩道を走っても良い。これと制限速度がない、ということを組み合わせると歩道上を30キロとかもっと速いスピードで走っても取締りを受けることはない、ということになってしまう。これも常識外れである。
しかし日本の法律もまったく無力ではない。次のような条文が用意されている。
道路交通法においては 「安全運転義務違反」というもので明示されている。
(安全運転の義務)第70条 【車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキ
その他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を
及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。】と定められているのだ。
抽象的な言いかたではあるが、このような表現をしているのは自転車にスピードメーターがついていないことも関係しているようです。
また国家公安委員会は道路交通法令に基づいて自転車の型式認定を行っている。
制動装置(ブレーキ)の構造、形状及び性能について10km/hで走行時に3m以内に停まれること、としている。勿論これは自転車自体の性能についての基準ということだが、この基準は推測するに人とぶつかりそうになった時ブレーキをかけて3m以内で止まれれば、かなりの事故を防げたり、人身事故になっても、その重症度を軽減できるという想定だと思われる。
警察の取り締まり強化が必要
このようなことを身近に見聞きすると、本当にぞっとしますし、他人ごとではないなと思います。警察の取り締まり強化は必要だと思います。
例外的に歩道を通行できる場合とは
◆ 道路標識等により自転車が当該歩道を通行可となっているとき
◆ 自転車の運転者が、高齢者や児童・幼児等であるとき
◆ 車道又は交通の状況に照らして当該自転車の通行の安全を確保するため当該自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき
そして歩道を通行する場合は、車道寄りの部分を徐行しなければなりません。
上記条件を満たす場合であっても、歩道を通行する場合には、次のルールやマナーを守ることが求められている。
・いつでも止まれるスピードで徐行する
・歩行者の通行の妨げることになるときは、一時停止する
・歩行者が多いときは、押して歩く
(電動アシスト自転車については、モーターによる補助力と人の力の比が、10km/h未満では最大2で 10km/h以上では走行速度が上がるほどアシスト比率が徐々に減少して、24km/hでは0になるという基準を満たしていれば自転車として公道を走行してよいとされている。)
これらはすべて法律ではなく、マナーということである。法律がないので仕方がない。
自転車運転者講習制度
平成27年6月1日以降自転車の運転による違反者に講習を受けさせる制度「自転車運転者講習制度」が従来の交通ルールに加わっています。(この講習制度の対象年齢は14歳以上)
3年以内に2回の違反切符による取締りを受けるか、事故を起こすことによって講習の対象となると考えられます。もし自転車運転者講習を受講しなかった場合は5万円以下の罰金となります。
そして従来の法規による歩道での歩行者と自転車の事故に対する罰則は「3ヵ月以下の懲役または2万円、5万円、10万円以下の罰金又は科料」が課せられることになります。
自転車でしかたなく歩道を通行しなければならない方は、これらのことを本当に理解して安全な運転、通行をお願いします。
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